#97
自社の“何でも聞ける度”は、どのくらいですか?
以前、こんな出来事がありました。
私の支援先の新人が、車で迎えに来てくれた時のことです。
「平堀さん、おはようございます。本日も、よろしくお願いします」
と、元気な挨拶をしてくれて、気持ちよく車に乗り込むと、
彼が運転席で妙な仕草をしていました。
何をしているのかしばらく様子をみていると、
車のサイドブレーキの場所を探していることがわかりました。
私が、
「○○さん、このタイプの車は、左の足もとにあるんですよ」
と教えると、彼は、恥ずかしそうに、
「すいません。自分の車と勝手が違いわかりませんでした。では、出発します」
と詫びました。
このやり取りで、私は、大きな疑問が浮かび、彼に尋ねました。
「ところで、会社から出発するときにも、
サイドブレーキを解除しなければならないはずなんだけど、
そのときは、どうしたの?」
彼は、頭をかきながら、
「わからなかったので、サイドブレーキをかけたまま、ここまで走ってきました」
と、答えました。
これは、大問題です。
何が?
サイドブレーキをかけたまま車を走らせたこと。
それは、もちろんですが、それ以上の問題があります。
私は、彼に、次の確認をしました。
「サイドブレーキの場所を教えてくださいと、会社の人に、聞かなかったの?」
「はい。みんな忙しそうだったので。」
みなさん、いかがでしょうか。
誰かに尋ねさえすればわかるのに、それをしない人って、周りにいませんか。
あるいは、ご自身がそうなっていませんか。
先の事例に出した彼にも、言い分はあります。
・先輩が怖い。
・何か聞くと、そんなことくらい自分で調べろと言われる。
・些細なことで手間を取らせたくない。
・聞いたら恥ずかしい。
でも、わからないまま、あるいは不完全な理解のまま事を始めてしまい
(サイドブレーキを解除しないまま車を走らせてしまい)、
何かが起きたらどうなるのでしょうか。
今は、ネット検索をすれば、大概の情報は得られます。
やり方もわかります。
こんなに便利なツールを使わない手はありません。
いや、この日進月歩するIT技術は、積極的に使いこなすべきものです。
また、IT、すなわちパソコンと接しても、
・叱られたり
・こんなこと自分で調べろと言われたり、
・面倒くさい表情をされたり
・こんなことも知らいないんだと茶化されたり
することは、ありません。
ですので、人に聞くより検索した方が気楽ですし、より正確な情報も得られます。
結果、人と接する機会が大幅に減少してしまいました。
人と接する機会が減れば、人との関係性も希薄化していきます。
すると、人との接点で発生するストレスに対しての耐性が養われません。
IT技術の高度化が進むと、人と直接接する機会が減少する。
このような時代だからこそ、人に尋ね、それに応える会話力や感受性を、
意図して鍛えるべきなのではないでしょうか。
それは、チーム力は、人との関係性を深めながら培われるからです。
ダニエル・キム教授が提唱した成功の循環モデルでも
「関係性の伴ったチームが良い発想をし、
この発想から良い行動が生まれ、期待する成果が創出される」と説かれています。
従って、「この車のサイドブレーキはどこにありますか?」
と尋ねられる関係性の構築が理想のようです。
さて、あなたの会社の“何でも聞ける度”は、どの位でしょうか。
もし、課題があるようでしたら、我々にご一報ください。
決して「こちらをご覧ください」とマニュアルっぽい対応は致しませんので。(笑)
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